「現行学習指導要領の振り返りと次期学習指導要領改訂に向けての期待
〜作成協力者の視点から〜」
<演者>
小学校作成協力者:清田美紀先生(環太平洋大学准教授)
中学校作成協力者:千田幸喜先生(盛岡市立黒石野中学校 校長)
高等学校作成協力者:後藤晃伸先生(中京大学准教授)
<指定討論者>
石川泰成先生(埼玉大学教授・元教科調査官)
<司会>
荻原朋子(順天堂大学)、山本理人(北海道教育大学)、須甲理生(日本女子体育大学)
<テーマ設定の趣旨>
現行の学習指導要領は平成29年・平成30年に告示されてから約8年が過ぎ、令和6年度をもって小学校から高等学校までが完全施行となった。現在は、現行学習指導要領での成果を検討すべく、文部科学省、国立教育政策研究所によって学習指導要領実施状況調査が行われており、2024年7月10日には、「今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会」において「令和4年度小学校学習指導要領実施状況調査について(ペーパーテスト調査等)」(速報版)が報告されている。なかでも、小学校体育(運動領域)においては、平成29年学習指導要領の主な改訂のポイントとして、育成を目指す資質・能力の3つの柱のうち、「知識及び技能」として知識と技能を関連付けて示すこと、「思考力、判断力、表現力等」として、表現力を新たに示すこと、「学びに向かう力、人間性等」として、従前に引き続き内容を示すとともに、共生の視点を新たに示すこととした。今回の調査によって明らかになった成果と課題では、公正、協力、責任、参画、共生、健康・安全等に関する態度の理解について相当数の児童ができていることが明らかになった。一方で、体つくり運動領域の体ほぐしの運動の目的の理解や、水泳領域のクロールにおける自己の能力に適した課題の解決の仕方を工夫することに関する思考力、判断力については課題があることが報告された。以上のように、小学校においては学習指導要領実施状況調査(速報版)の結果がまとめられ、今後は中学校、高等学校の調査結果についても報告されると考えられる。他方で、現行学習指導要領における学習成果を検討した研究もこれまで少しずつ蓄積されている。
このように、現行学習指導要領が施行されてから一定期間が過ぎたことから、今後は各学校段階における現行学習指導要領の振り返りを行うとともに、次期学習指導要領の改訂に向けて、体育科・保健体育科の方向性について議論し、本学会会員間で共有する必要があると考える。
以上のことから、本シンポジウムのテーマを「現行学習指導要領の振り返りと次期学習指導要領改訂に向けて」として設定することとした。本シンポジウムでは、現行学習指導要領の作成協力者にご登壇いただき、作成協力者の視点から現行学習指導要領を振り返り、その成果と見え始めている課題、そして、次期学習指導要領の改訂に向けて議論すべき点などについて、ご発表いただきたいと考える。
(参考資料)今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会(2024)令和4年度小学校学習指導要領実施状況調査について(ペーパーテスト調査等).https://www.mext.go.jp/content/20240710-mxt_kyoiku01-000037001_02_2.pdf
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